タクシードライバーの保険

タクシードライバーとして安全に業務を行うためには、さまざまな保険に加入しておく必要があります。本記事では、タクシードライバーに必要な保険について詳しく説明します。

任意保険にも加入する

任意保険の加入は、タクシー業界において必須です。営業活動で乗客を輸送するタクシーは、自賠責保険だけではなく、必ず任意保険にも加入する必要があります。これは、タクシー業の営業許可を取得するために、任意保険への加入が法的に求められるためです（旅客自動車運送事業運輸規則第19条の2）。国土交通省によって定められた任意保険の要件では、対人賠償は8000万円以上、対物賠償は200万円以上（免責額30万円以下）であることが必要です。

タクシー会社に所属しているドライバーは、通常、会社が指定した共済や保険会社の任意保険に加入することになります。この手続きは会社側が大部分を処理し、ドライバーは指示に従って必要事項を記入するだけで加入が完了します。個人タクシーの運転手の場合でも、協同組合に所属している場合は、協同組合が手続きをサポートしてくれることが多いです。

タクシー共済について

一般の自動車保険とどう違うのか

タクシー共済は、特定の団体や協同組合によって運営されている保険形態で、相互補助の精神に基づいて非営利目的で提供されています。この共済は、組合員同士が互いに助け合う仕組みで、一般的な保険会社と比較して保険料が割安である傾向があります。これは、組合員同士の連帯感と協力によって運営され、コストを抑えるためです。

タクシー共済は、複数のタクシー会社が協力して設立した協同組合が提供する共済制度を指します。タクシー業界に特化しており、事故時にはタクシードライバーにとって有利な条件で保護してくれることが多いです。日本には「東京ハイヤー・タクシー交通共済協同組合」などの有名なタクシー共済組合があります。

タクシー用自動車保険とは

タクシー用自動車保険は、一般の自動車保険と比較してタクシー業務に特化した保険です。これはタクシーの運行に伴うリスクをカバーするもので、通常の自動車保険では対応しきれない部分を補うことができます。タクシー保険には、車両の損害補償だけでなく、乗客や他の交通参加者に対する賠償責任保険も含まれています。

タクシー業務中に発生した事故やトラブルに対応できるため、安心して業務を行うためにはこのような保険に加入しておくことが重要です。タクシー用自動車保険は、タクシー会社や個人タクシーの運転手にとって必須の保険と言えます。

タクシー保険の適用範囲

タクシーの運行中に事故が発生した場合、保険の適用範囲は事故の内容によって異なります。例えば、単独事故が発生した際には、乗客の要求に応じて治療費や賠償金が自賠責保険と任意保険の対人賠償から支払われます。同様に、人身事故の場合も、被害者からの請求に応じて賠償が行われます。

車両が壁や電柱に衝突した場合には、任意保険の対物賠償から補償されることになりますが、その範囲内であればタクシー会社や運転手が費用を負担します。

未加入の場合

車両保険に未加入の場合、事故による車両修理費用も自己負担となります。特に、車対車の対向事故が発生した際には、過失の割合に応じて自賠責保険と任意保険の対人賠償から乗客への補償が行われ、過失割合に基づいて車両の対物賠償が行われます。

しかし、修理費用がこれらの補償を超える場合、車両保険に未加入であれば、自己負担が生じることになります。このような事故処理の示談交渉は、通常保険会社の専門スタッフが対応します。

運転手に責任がある場合

運転手が事故の100％被害者である場合（例：乗客がいない状態で後方から追突された場合）や、被害額が免責範囲内に収まる場合、タクシー会社の事故処理担当者が対応します。一方で、個人タクシーの場合は、自身で交渉する必要があるため、弁護士費用を補償する特約を選択すると安心です。