タクシードライバーはAIに仕事を奪われる？

AIによる自動運転技術の現状

2023年時点の自動運転技術はレベル3が実用化され、2025年を目途にレベル4の実用化と普及に向けた試みが進んでいます。条件付きで自動運転ができるレベル3では、自動運転が困難となった場合はドライバーが安全確保を行うことを条件にアイズオフ運転が可能となりました。

アメリカや中国ではレベル4の自動運転タクシーが商用化されています。国内における無人運転を可能とするレベル4に関しては、道路交通法の改正により2023年4月からレベル4の社会実装が始まっています。

※参照元：【PDF】国土交通省公式サイト「自動運転に関する取組進捗状況について」（https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001583988.pdf）

※参照元：【PDF】国土交通省公式サイト「自動運転車両の呼称」（https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001377364.pdf）

AIによる自動運転でタクシードライバーの仕事が奪われない理由

完全な自動運転化が実現するまではドライバーの乗車が必要

道路交通法の改正により2023年4月からレベル4の社会実装が始まってはいるものの、走行領域を限定しない完全な自動運転レベル5の実現には時間がかかります。 完全な自動運転化が実現されるまでは、必然的に運転の補助ができるドライバーの乗車が必要となるでしょう。

安全な自動運転化に向けての課題が多い

現段階ではタクシーの自動運転化に向けて、以下のような課題が指摘されています。

• 最適な経路を選択して目的地へ到着させるためのシステム開発
• 事故を起こした場合の責任の所在や保証の仕組みの構築
• 膨大なデータを素早く受信するための5G環境の整備
• 自動運転に合わせた法整備
• ハッキングによる事故などを防止するためのセキュリティーの向上
• 自動運転用のガスステーションの整備

こういった課題が挙げられていることから、タクシーよりも決まったコースを巡回する電車やバスの自動運転化の方が早く実現するのではないかと推測されています。

AIでは対応できない業務がある

タクシードライバーの仕事は運転だけでなく、接客の業務も含まれます。車椅子が必要な方や高齢の方へのサポートなど、人間にしかできない業務へのニーズが求められるはずです。

また、タクシー業界の「流し営業」という営業スタイルに対応するのも、AIでは難しいといえるでしょう。

自動運転技術の発達によるタクシー業界へのメリット

タクシードライバーの業務負荷を軽減

自動運転技術の向上により、タクシードライバーの業務負荷が大幅に軽減できるため、快適な働き方が望めます。心身の負担軽減にも繋がり、サービスの質向上が見込めるでしょう。

交通事故のリスク低下

自動運転タクシーは人間よりも視野が広く、反応速度も速いため、交通事故のリスク低下に繋がります。

また、国土交通省の資料では、作動率100％の自動運転が死傷事故の約9割を削減し、四輪車対四輪車に関しては事故削減率が100％と推定されました。この結果はあくまでも参考地であり、自動運転でも急な飛び出しによる事故の回避は難しいとの見解もありますが、自動運転の普及で事故の回避に期待できると報告されています。

※参照元：【PDF】国土交通省公式サイト「自動運転システムの事故削減効果評価の検討」（https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/01asv/report06/file/hokokusyo_2_jikosakugenkoka.pdf）

タクシー業界の現状と今後について

まとめ

自動運転技術の進歩により、タクシードライバーの仕事が奪われるのではと不安になってしまうこともありますが、実装されるまでには時間がかかるでしょう。

タクシーの自動運転が普及したとしても、AIにはできない車椅子が必要な方や高齢の方のサポートや気配りのある温かい接客を重視することで差別化が図れます。自動化が実装されたとしても、接客やサービスへの需要はなくならないはずです。

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